時:1月20日(金)
場所:白峰アルペン競技場(石川)
天気:曇りときどき晴れ&雪
積雪:150cm
ゲレンデコンディション:圧雪、固め
現地までの移動手段:ジムニーJA22
現地までの所用時間:1時間15分
レース結果:49,10秒(トップとの差約12秒)
僕は元来大げさである。怪我、病気のときはとくに騒ぐのでまわりの人に迷惑をかける。
前回のスキーで大ゴケしてひねった右肩の痛みが治まらないので近所のクリニックに行き、レントゲンを撮ってもらうと、「ここに黒い線がちらっと写っています。もしかしたら少し折れているかもしれませんね」と言われた。
折れているかもしれませんね!?
いやいやいや、そんなわけはない。折れていたら今シーズンのスキーが全部ダメになってしまう。折れているなんて嘘だ!
元来大げさな僕は、今度は中学のときの同級生がやっている接骨院へ向かった。
同級生は言う。「折れているかもしれませんっていうそんな中途半端な診察があるか。ちゃんとした病院行って診てもらった方がいいよ、べん」
ということでこの日の治療は電気をビリビリ肩に当ててもらって終了。翌日、僕は「ちゃんとした病院」へ行って、「ちゃんとした診察」をしてもらった。
結果は折れていなかった。靭帯も切れていない。医者からリハビリを開始してもよいと言われたのでほっと一安心。不思議なことに「ちゃんとした病院」で「ちゃんとした医療的証拠」をもらった僕の右肩は以前と比べてあんまり痛くなくなっていたのでした。
病は気から、って言うしなあ、なんてつぶやきながら、次に僕が向かったのは地元の神様が祀られている石浦神社であった。
元来、大げさな僕は、今回の怪我、二週間前の突き指、正月元旦のインフルエンザ疑惑をすべて直線上に並べて、これはもう42歳の厄年の厄に違いないと結論づけた。
前厄、本厄の厄払いにも行っていない。
これはもう完全にそうに違いない。
ということで僕は久しぶりにジャケットに袖を通し、奉納のための日本酒一升びんを小脇に抱えて、かつてアルバイトをしたことのある石浦神社へ向かい、しっかりと厄を払ってもらった。そしていただいたお守りをしっかりとスキージャケットのポケットにしまった。
これでもう大丈夫だ。べん、マスターズに参加してもいいぞ。
心の声が僕にそう告げる。
そんなわけで行ってきました、オープンマスターズ第1戦!
この日も早起きをして、まだ少し痛む右手を軽くハンドルに添えながら、なかなかの山道を愛車ジムニーで駆け抜けて、17歳のときを最後に足を運んでなかった白峰アルペン競技場にたどりついた。
会場にはすでに強そうなおっさんおばさんの姿がちらほら見え、うおお、なんかものすごく緊張すると思いながら、リフトの乗車時間を待ちつつ入念にストレッチをする彼らの中に僕も混じって、僕もそれらしく見えるストレッチを行った。見上げるとそこにはすでにレース用のポールが立っている。
うおお、この感覚!やっぱり緊張!
この日、僕は絶対に無理な滑りはしない、と心に誓っていた。もう一回転んだら多分本気で今シーズンスキーができなくなる。だからタイムが遅くたって無理なターンはするんじゃないぞ、わかったか、俺!?
そう自分に言い聞かせて、受付を済ませた僕はコース上部のフリー滑走部分を滑ってみたのだけど、やっぱり右肩から転ぶのがどうしても怖くて、ぜんぜんスピードを出せない。そんな中猛者レーサーはがんがん飛ばしてレース前のウォーミングアップを行っている。なんだかとっても気後れするけど、まあしょうがない。レースに参加することに意味があるのだ。
ほどなく淡々とレース開始。全部で30人くらいが参加していて、滑走順はおばさんが最初、その次がおじいちゃん、その次がおじさん、そして最後にこの日最年少(41歳)の僕という具合だった。この日は僕の他にもう一人40代の人が参加していたわけだけれど、とにかく、おじさんもおじいちゃんもみんなかっ飛ばす。とくに50代がもう現役バリバリみたいな感じでタイムを争っていて、最後から2番目に滑った僕のタイムは目を疑うくらい遅くて、一本目を滑り終えた時点でそのまま帰ろうかとも思ったくらいだった。
80歳のおじいちゃんと同タイム、、、。!!!
2本目は申告制レースと言って、自分が次に滑るタイムを自己予想し、そのタイムが1本目のタイムと近ければ近いほど勝ち、というゲームだった。
1本目があまりにも遅かった僕は、無謀にも2本目のタイムを5秒縮めて申告し、レースに挑んだ。しかし結果は1秒しか縮まらず、レースの世界の厳しさを肌で感じた次第でした。
そして閉会式。各年代ごとに表彰されるので、二人しかいない40代は確実に二人とも表彰される。ああ、そんなのって恥だ。そこではきっと必ずタイムも発表されるに違いない。プライドの高い僕にはもう耐えられない仕打ちさ。
案の定、2位で表彰され、タイムも公表された。僕のタイムを聞いたじいちゃんおばさんおじさんみんなが一様にほくそ笑んでいるのがわかった。(勝手にそう感じただけかもしれんが)
景品に白峰特産の揚げをもらってこの日のレースを終えた僕は、巨大な揚げをスキージャケットのポケットにしまい込んで、数本ゲレンデを滑ってから帰路についた。転んだらポケットの中の巨大揚げは潰れてしまうだろうな。僕は慎重かつ大胆に最後の滑りでカービングターンを練習し、今度のレースは絶対に※カービングターンを使って挑もうと心に誓うのでした。
※カービングターンとはスキー板をずらさずに行うターンのためスピードが出る。しかし、スピードが出ると今度はスキーコントロールが難しくなるため、ずらすターンでブレーキングする必要があるのだが、この日びびりの僕はすべてずらすターンでレースを滑ったため、タイムは散々たるものだった。(言い訳)
もらった景品の揚げ。焼いて食べたらむちゃくちゃ美味しかった。奥さんもぜっさんの揚げでした。