スキーブログ 2018-2019シーズン 52,53,54,55, & 56th Run @たいら(ハイクアップ)&志賀高原横手山スキー場、熊の湯スキー場 「甦る記憶」後編

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令和元年、5月1日。雨はようやくあがった。今日でシーズン最後の滑りとなる。ホテルを5時に出発し、熊の湯スキー場へ滑って向かう。この日は早朝GSトレーニングだけに参加するので、SLの板を持っていかなくてもいい分、気持ちも晴れやか。

 

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まったく誰もいない午前5時のゲレンデをひとりで滑り降りて行くとき、僕は一匹の獣と化す。寝ぼけ眼の宿泊客は、目をこすって狐を見たと思うに違いない。ヘルメットをかぶったキツネを。

 

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熊の湯に到着。トレーニング参加2日目なので、気持ちにも余裕が。コーチも参加選手も心なし晴れやかな顔をしている。

 

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リフトの柱を迂回したり、沢のぎりぎりにポールが立っていたりと、この日は遊園地のようなスリリングなコース設定だった。沢ぎりぎりでターンをするので、恐怖心の克服にもなる。このようなトレーニングを重ねれば、来シーズンはもっといい成績で滑れるのだろうと実感した。2日目にして、滑りは格段によくなった(と思う)。

 

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令和元年に最初に僕が目にしたものは、窓の外に映る、横手山山頂から打ち上げられた花火だった。疲れ果てて眠りこけていたら、勝手に令和になっていて、花火の音で目が覚めた。海和俊弘さんが令和初滑りの先頭に立ち、横手山を滑り降りて来たそうだけど、外には出なかったので確認できず。ちょっと参加してみたかったかも。

 

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熊の湯スキー場

この日は天候もまずまずだったので、全部で6チームほどがポールを立てて練習していた。イメージしていたよりもポールだらけということはなかった。

どこかのチームが予約したコースを間違えて、他のチームのコースにポールを立てたらしく、間違われたチームのコーチが怒り狂っているのをリフトの上から眺める。時間勝負なので、怒るのも無理はないが、そんなに怒らなくても・・・。

 

 

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無事、横手山に帰着。チェックアウトを済ませ、ホテルのクラシックな喫茶コーナーでコーヒーをたしなむ。そして長かったこのシーズンを感無量の思いで振り返る。

 

23歳のとき、ひとりでこの横手山スキー場にやってきて一冬を過ごした時に目にした風景、景色、光景、場面。覚えていようなんて思ってもいなかったが、20年経って、再びゲレンデに立った時、あの時の僕が今の僕と重なり合い、あのときに見た風景が今の風景と重なりあって、僕が受け持った100人以上の修学旅行生たちとともに滑ったあのときの記憶が、あの時と同じ場所に今も立っている木の横を滑り抜け、リフトを降りて最初に見える何気ない景色の中で、あの日の子供たちが転ぶのが見えた。リフトの降り場で転んだ生徒を助ける僕にリフトの搬器が激突する痛み。それをニヤニヤしながらリフトを止めずに笑っているリフト係のおっさんの顔。

覚えようなんて思ってもいなかった記憶がゲレンデのそこらじゅうに潜んでいて、あちらこちらから顔を出して僕との再会を喜んでいた。横手山の神様が20年ぶりにやってきた僕に花火まで打ち上げてくれたのだろうか、そんな気さえした。

 

スキーを通じて旅をしている。来シーズンもどんな旅が待ち受けているのか、今から楽しみで仕方がない。

 

ありがとうございました。

来シーズンもまたよろしくお願いします!

 

へぼレーサーBen