後編です。
レーサーとはゼロコンマを争う人たちである。なのでひとたびレーサーがひとつのゲレンデに集結すると、それは高速道路を無理矢理直角に立てるみたいなもので、みなすごいスピードでゲレンデを駆け下りていく。
そして、レーサーとはゼロコンマを争う人たちなので、リフト待ちなんていう概念などなく、割り込みは当たり前。小学生レーサーに至ってはマナーという言葉も知らないので割り込むことに罪の意識はまるでない。
というわけで、僕もレーサーのはしくれとして割り込もうとする小学生を先に行かせないのである。これは意地悪ではなく、先に行かせていると本当に自分の順番が回ってこなくなってしまうからだ。
リフト待ちの割り込みは何もレーサーに限ったことではない。おちおちしていると酒臭いおっさんスキーヤーにも抜かれてしまう。割り込みされそうになったら割り込ませない。そんな精神のタフネスもスキーには必要なんだと学ぶ今日この頃。
午前・午後を通して初日はGSのゲート・トレーニングだった。この時期にしては好条件の中、20旗門以上のコースを10本は滑らせてもらった。
初日は高速道路を縦にした状態のレーサーに圧倒され、今まで習得したロングターンでの体の使い方をまったく思い出せないままゲートに入っていたので、ぜんぜん理想の滑りとは行かず頭を悩ませるばかりだった。
午後になって、コースが入れ替わり、中斜面の短めのコースではさらに調子が掴めなくて、頭の中が？？？とクエスチョンマークで満たされる1日となった。
チームのコーチは理論バリバリのお方で、コーチの言っていることは理解できるのだけど、その滑りに到達するには一体どうすればいいんじゃあああ！？と葛藤はつのる。
ゲート・トレーニングが終わっても僕はゲレンデに残り、最後の最後まで練習に明け暮れた。うまくなりたいだけだった。
翌日、宿を出て、2日目となる鹿沢スノーエリアへ。この日は馴染みのチームはSLのトレーニングとなっており、僕は他のチームのGSトレーニングへ急遽入れてもらうことになっていた。はっきり言ってすごい緊張だ。集まっているのはすごい速そうな高校生や中学生ばかりで、その中に僕みたいな中年レーサーが入っていくにはそれなりの気合いが必要だった。
前日うまくいかなかったポイントを整理して、心掛けるべきポイントをひとつにしぼってその日のゲート・トレーニングに入ったら、昨日コーチが言っていた理論をやっと体現できるような滑りができて、ようやく群馬まで来た甲斐があったと安堵のため息がもれた。
リフトをはさんだ向こうのレーンでSLトレーニングの指導に没頭しているコーチにもぜひ見てもらいたい滑りだった。
午後からは、GSのフリーの練習を少しして、人生で初めてのSLのトレーニングに参加した。アイスバーンで掘れに掘れているコースは通るのが精一杯。ひどく下手くそだったけど、SLというものはこれほど難しいものなのかと体験できただけでも何かに繋がりそうだと思った。
チームが帰宅してからも夕日に向かって最後まで練習した。自分の滑りをIphoneで自撮りなどして、フォームの確認もした。シェーレンもＸ脚も直ってなくて愕然としたけれど、いい感覚はあった。もっとうまくなれるだろう。そう思いながら群馬県を後にして、風邪で寝込んでいる奥さんの待つ新潟まで車を走らせ帰って行った。
それでは写真ダイジェスト！
リフト奥のコースに立てられたGSのゲート。あそこをひたすら何本も滑った。
素泊まりの宿。持ち込んだ食料で宴して早々に就寝。
これは年末の六日町の素泊まりの夜。持ち込み宴もなかなか楽しい。
新年の嬬恋村の宿。朝から冷え込んでいて、景色はなんとなく北海道みたいだと思っていたら、気候はほぼ北海道と同じだという記事を読んでなるほどと思った。標高1000mの村。キャベツの栽培がさかん。
こないだ噴火したよね、浅間山。このエリアにはパワーを感じる。パワースポットに違いない。
わりといいときの滑り。まだまだだけどね！
やっぱり北海道的だと思うんだ。夕日に染まるなんとか山。
いたるところにぐんまちゃん。
年末の六日町八海山。
六日町の夕暮れ。
こんな感じで年末年始の怒涛のスキー合宿２連発は過ぎて行きました。
雪は少ないけれど、今シーズンもいい感じ。がんばっていこう。
次回は近場（と言っても岐阜エリア）で練習したら、いよいよ長野県マスターズが19日に迫って来ます。大好きな栂池でのレースです！！
乞うご期待！
Ben the Racer!!
