手術しました。最終章

最終章なんて書くと大げさだ。

術後3日目には体調はだいぶ回復した。そして着替えて外来へ。うわさのガーゼ抜きの処置をしてもらいにいった。

すぐに呼ばれて主治医のお部屋に通されると、鼻の中に麻酔用のガーゼを詰められていったん退室を命じられる。廊下のベンチでうわさのガーゼ抜きに震えながら待つこと40分!主治医曰く、「呼ぶのを忘れていた」 、、、。

最近総合病院などに通うことが多いのだけど、偉大な先生って手術がたとえお上手でも、どっか抜けてる気がする。メスを鼻の中に置き忘れられてなくてよかった。ガーゼはたんまり入ったままだけどね。

さて、麻酔のガーゼが抜かれていよいよ鼻腔や副鼻腔やあちこちに留置されたガーゼを抜く時が来た。ネットでいろんな人の体験談を読んでいると、そんなに大量のガーゼが鼻から出てくるなんて!と言っている人が多い。たしかに!と思うほど、僕の場合も鼻から手品のようにスルスル、スルスル、いやヌルヌル、ヌルヌルとガーゼが大量に出て来た。それほど痛くもないが、変な感じがする。ガーゼよりもその後に機械で鼻の中を掃除される方が激痛だった。

 

うわさのガーゼ抜きも終わり、病室へと戻る。鼻に綿栓はしたままだが、ガーゼが抜かれて心も軽い。明日は退院だ!今日は最後の入院生活をエンジョイするぜ!とテンションもあがるが、じっさいに病室ですることはなし。テレビをつけてじっと本を読んでいるだけであった。

 

さて、今回の手術で検査のために胸のレントゲンを撮っていたのだけど、肺に影があると言われCTの精密検査にまわされるはめに。「ないとは思いますが癌の可能性も排除できませんので」と主治医に言われていたが、さほど気にせずにいた。術後2日目の点滴のとれた体でCTを撮りに行ったのだけど、本を読んでいると主治医の先生が病室に入ってきて、ナースセンターにおいでと呼び出される。ナースセンターのパソコンに映し出された肺のCTには影はなく、主治医からも問題なしと言われほっとした。

 

夕方、たいぶ元気になってきたので部屋の中を行ったり来たりして運動してみる。あの狭い個室の中を何百往復して2キロ分歩いた。スマホで測った。

 

たったの5日の入院だったけれど、すでにもう住んでいたような懐かしみと親しみを覚える。病気と添い寝し、病気に出て行ってもらい、そして家族に迎えに来てもらう。術後でフラフラのまま帰宅。久しぶりに会う娘は最初とてもはにかんでいたけれど、家につくと予想通りの「あそぼー!」攻撃。たいへんつらかったです。

 

これを書いているのは術後2週間が経った金曜日で、鼻は少しずつ通るようになってきた。右の副鼻腔がすんごいスカスカになってるみたいで、しゃべると声が響く。教室の生徒の何人かからも「先生、声がかわって変!」と言われた。たしかに変わったような気もする。ネットで調べると、藤井フミヤは鼻中隔矯正手術を「声が変わる」という理由で断ったそうな。あの甘い歌声はじつは鼻の中の曲がった軟骨による鼻づまりのせいなのかもしれないと思うと、感慨深い。鼻づまりと甘い歌声。僕はぜったいに鼻づまりは嫌なので声が変わってもなんとも思わない。

 

手術は成功した。そして鼻も快方に向かっている。しかし、今度は左の上の奥歯あたりがずっと痛くなっていて、友達の歯科医に診てもらうと、虫歯はないとのこと。顎関節症だと言われ、耳鳴りもそのせいかもしれないねと言われた。一気にははん!と合点する自分。ネットで「顎関節症・耳鳴り」で調べてみると、それに関する記事がわりとたくさん出て来た。そうか、ストレス高くなると無意識に歯を食いしばっていたのだなあ。顔面ずたぼろ。

さらには友達の接骨院を訪れ、顎関節症のことを伝えると頭蓋骨の歪みを指摘され、頭蓋骨と顔面をぐいぐいされるに至る。だだ下がりだったQOLを標準レベルに戻す道のりは長いが、上向きであることはとてもいいことだと思う。最近世界が輝いて見える。

 

いつまでも健康でいたい。

 

最後に、入院中ワンオペで子育てがんばった妻にSpecial Thanksを贈ります。

ありがとう。

 

Ben